俺達はそれから少しイチャイチャして北欧館をあとにした。

時間は15時を回ったところだが、堂山の外れにあるゲイバーが
カフェタイムとして営業しているらしいというので行ってみることにした。

「こんちわ」
「いらっしゃーい。あ!たー君?」
「トッシー久しぶり!」
「えー久しぶりぃ!すごいマッチョになったじゃない!」
「そらがんばって鍛えとるからw こいつ、恋人のユキヒロ」
「どうも…」
「えー、昔の龍ちゃんにそっくりじゃない!カワイー♪
 トシヤです、よろしくー」
「とりあえずー…アイスティーにしようかな」
「あ、オレも」
「りょーかい♪おきゃん*、アイスティー2つね」
「はーい」

カウンターの中に居たもう一人の店員が
グラスにアイスティーを注いで持ってきてくれた。
坊主に顎髭で厳ついけど物腰の柔らかい
いわゆるイカニモ系*の店員だった。

「はじめまして〜、おきゃんてぃーです♪」
「あ、はじめまして…ユキヒロです」
「どうも、泰三です」
「今日はヒマなんでゆっくりしてってくださいね。あ、今日も、かなw」
「あんたケツの穴布団針で縫うわよ」
「ちょw シャレならんwww 泰三さん助けてwww」
「ダメ!泰三さんはオレの彼氏なんだもん!」
「ゴメンゴメン、冗談よ。
人の彼氏奪おうって思うほどアクティブじゃないわよw」
「あ、ごめんなさい、つい…」
「すぐムキになる辺りを見ると…2人はまだ付き合いたて?」
「3ヶ月やから…まあ、そうやね」
「それにしてももう…10年位だっけ?最後にここに来て」
「12年やね、オレが20歳の頃が最後やから」
「え?泰三さん未成年の頃から堂山来てたの?」
「そうよー。この子夜な夜ないろんなお店でいろんな事してたのよー」
「コラ!嘘つくなや!w龍次さんに連れられてここに来てたくらいやで」
「まあ、龍次さんお巡りさんだもんね」
「むしろ未成年に酒飲まそうとするようなダメ警官だったけど、
 まあイケメンだったよねー」
「トッシー1回、周年*のときかなんかでドロドロに酔っ払って
本気で龍次さんの事口説いてなかった?」
「マジ!?覚えてないわーw」
「オレ覚えてるで、まああん時まだガキやったし、
なんやねん龍次さんに絡みやがってこのクソガマ!って思っとってさあw」
「ひどーい」
「アハハ」

ゲイバーに来たのは本当に久々だったから面白かった。
帰りの新幹線の時間が近づいてきたので別れを告げて店を後にした。

***

「やっと池袋かあ…」
「ほな、オレは一回荷物置いてから来るから、またあとでな」
「うん。待ってるね」

そう言って泰三さんは降りていった。
オレは一人山手線に揺られて新宿まで。
新宿で中央本線に乗り換える。
高円寺について家の鍵を弄びながら夜道を歩く。
ちょっと喉が渇いたのでコンビニに寄った。
雑誌コーナーをふと見ると気になっていた雑誌があり
つい立ち読みしてしまった。

(ヤベ!泰三さん来るのに!)

慌ててお茶を買って飲みながら家路を急いだ。
自宅のマンションが近づいて気が緩んだのか
角を曲がった瞬間に人とぶつかった。

「あっ、スイマセン」
「おっとぉ、ごめんよぉお〜w」
(うわ、でっかい痣だな…火傷かな)

左の首筋に大きな痣があるその人は
酔っ払いみたいな感じでヘラヘラしながら歩き去って行った。
(すげー体格だったな…泰三さんレベルだった)
そんな事を考えながら玄関のロックを外した。

「お!ちょうどよかった!」
「あ、泰三さん」
「お前寄り道したやろ」
「ゴメン、ちょっと気になる雑誌があったからつい…」
「しゃーないなーもう。よし、荷物持ったるから早よ行くで」

そう言ってオレのカバンをひょいと抱えるとエレベーターを呼んだ。
自宅のあるフロアまでついて鍵を開け、ドアノブを握った。

バチィ!

「あっ!!!」
痛みに思わず悲鳴が上がる。
「なんやねん、静電気か?大袈裟やな…って、オイ!大丈夫か?」

ドアノブに触れた部分の皮膚が真っ赤に腫れ上がっていた。
火傷したみたいになっている。

「……」

泰三さんはオレの手から鍵を取り、
少しずつノブに近づけた。

バチバチッ!

青白い電流が鍵とノブの間に小さな稲妻を作り出した。
ストロボのように明滅し、時に蛇のようにうねる稲妻…。

「なんやこれ……」

オレは何も言えず、ただ青白い光を見つめるだけだった…。
(´・ω・`)★☆(´・ω・`)★☆かいせつ★☆(´・ω・`)★☆(´・ω・`)

けいいちがよく行くゲイバーをモデルにしたゲイバーを出してみました。
悲しい事に8月下旬で閉店するそうです。
(つД`)

はい、というわけで東京に帰ってきたユキヒロを襲う謎の電流。
ついに黒澤が動き出しました。最終決戦になるか…?

(´・ω・`)★☆(´・ω・`)★ゲイ能用語☆(´・ω・`)★☆(´・ω・`)

*1 おきゃん:出てみたw最初はラヴ江にしようかと思ったけどやつはニューハーフという設定なので(蜜子はリアル女子なので論外)
*2 イカニモ系:外見のカテゴリ。「いかにもゲイっぽい」格好をしていることから。短髪、ヒゲ、ガチムチでラガーシャツにハーフパンツがイカニモ系のステレオタイプなファッション。イカニモ系に人気のブランドはアバクロ、GAP、カンタベリー、TOMMY HILFIGERが有名。
*3 周年:オープン記念日は○周年パーティーというものがあったりする。