≪〜♪≫

「あ、康太からだ。なんだろう」

台所で夕飯の準備をしていた時
リビングの方で康太からの指定着信音が鳴った。
もう2008年の曲だけどPerfumeのBaby cruising Loveを
康太専用の着信音にしていた。
サビの最後の歌詞がなんとなく2番手のオレにぴったりな気がしていたからだ。

件名:今日から、改めて宜しく
本文:さっき、ユキヒロと別れたよ。
    だから本気で付き合って欲しい。
    良かったら、これから会えないか?

「え……?」

正直、複雑な気分だった。ユキヒロは俺の親友だ。
あいつが康太を紹介してくれた時も
バカみたいに幸せそうな顔で、オレも自分の事の様に嬉しかった。
でも…何度か3人で会う内に、康太に惹かれている自分がいた。
少しずつオレは、幸せそうなユキヒロに対して
嫉妬の気持ちを感じ始めていた。

ある日3人で遊んだ日の夜中、インターホンが鳴った。
ドアを開けたら康太がいた。ケータイを忘れたと言った。
2人を送り出したのが終電ギリギリの時間だったから
もう終電は行ってしまっていた。
とりあえずお茶を出した。

「終電、もうないね」
「ああ。明日の始発で帰らないとな」
「とりあえずユキヒロにメールしなよ」

そう言って空のグラスを片付けに台所まで行った時
急に後ろから抱きしめられた。
008-2
「ここに泊まっちゃ…ダメかな」
「……いいよ……」

俺達はその日初めてセックスした。
ユキヒロに悪いと思いつつも
その背徳感が他の男とのセックスより興奮させた。
いつか三人でエロ話したとき、康太が冗談交じりに
ユキヒロのはでかいからウケ*の時痛いんだよって言った。
あいつは慌てて否定してたけど確かにでかいのは知ってた。
今オレの下で康太はエロい顔で気持ちいいって言ってるぞ。
フン、お前は一番かもしれないけど
二番手のオレの方が康太を喜ばせてるぞ。

康太を自分だけのものにできない悔しさ
ユキヒロへの嫉妬を全て康太への愛撫にぶつけた。
そして康太はユキヒロと会った日の夜は
必ずうちに泊まるようになった。
そして康太とセックスする時だけは、
ユキヒロに対して優越感を感じていた。

そんな二人が別れた…。
康太が俺と付き合いたいと言ってきた。
望んでいた展開だったけど…。

件名:ゴメン…
本文:嬉しいけど…ちょっと、急すぎる。一晩考えさせて。

わりとすぐ返信が来た。

件名:わかった
本文:明日休みだよな?なんか食いに行こう。10時くらいにそっちに行くよ。

了解とだけ返事をしてベッドに横たわる。
(オレが…康太の…彼氏に…?)
ドキドキした。
(ユキヒロ、ゴメン…)
それでも顔はにやけたままだった。

翌朝、チャイムの音で目が覚めた。
玄関を開けると康太がいた。

「今寝起きか?おはよう」
「おはよ…」

玄関先でキスした。

「返事、聞かせてくれよ」
「うん…好きだよ、康太」
「オレも…なあ、今日はオレがタチっていいか?」
「…いいよ…」

オレはすぐに準備をした。
これから俺達は始まるんだ。そう思うとわくわくした。
そしていよいよ康太がオレの中に…と思ったその時、
部屋のドアが勢いよく開いた。そこには…。

***

部屋には雨の音だけが響いていた。
俺達は結局、こうなる運命だったのか。
パチン、とコンドームをはずす音が聞こえた。

「ゴメンな、オレのせいで…」

先に口を開いたのは康太だった。

「いいんだよ、オレも、共犯者だから…」
「違う、オレが先にお前を誘惑したんだ。ケータイだって、わざと忘れた」
「オレ、康太の事が好きだよ…」
「オレだって慶吾の事が好きだ…」
「でも、ユキヒロの事、考えてなさ過ぎた」
「……そうだな」
「俺達、当分会わない方がいいね…」
「………ああ」
「ユキヒロに許してもらって、ユキヒロが元気になったら、その時また会おう」
「…そうだな。最初からそうするべきだったんだよな」
「うん…」
「…オレは無理かもしれないけど、お前は何があっても取り返せよ」
「康太も、絶対許してもらえるよ。二人でがんばろう」

玄関先で康太を送り出すとき、最後のキスをした。
いつかユキヒロに許してもらえる日までの別れのキスは
苦いタバコの味だった。
(´・ω・`)★☆(´・ω・`)★☆かいせつ★☆(´・ω・`)★☆(´・ω・`)

初の番外編という事で第8話のB面扱いです。
康太と慶吾には悪者のままで居てもらっても良かったんですが
事情…と言うにはアレですが、こっちにも訳があったんだぞと。
そしてユキヒロにばれた事で反省し、
大事な事を学ぶという話を書きたかったので。

(´・ω・`)★☆(´・ω・`)★ゲイ能用語!☆(´・ω・`)★☆(´・ω・`)

*1 ウケ:入れられる方。ネコともいう。下準備が面倒。
*2 タチ:入れる方。運動量が大変。舘ひろしはそういう事なのかしら。