「お前…凄かったでw」
「は……?」
「まー強引に飲みに誘った俺が悪いんやけどな」
「えっ、オレ、何かしたんですか?」
「いや、ベロベロになってずっと泣いとっただけやで」
「え……」
「ほんで酒ひっくり返して潰れてもーたから、うちに連れて来たんやけど…」

と言うと泰三さんはしゃがんだ姿勢から胡坐をかき、
片肘をついてこっちを見つめた。
え……もしかして、康太の事言っちゃった?

「す、すいません……」
「ええよ、何か潰れそうやなって途中から分かっとったし、
無理やり飲みに連れて行った俺にも責任あるしな。
服は今洗濯しとるし、そんな状態で帰れんやろ。ホレ、横になれ」

泰三さんはオレの上半身を支えている腕が
うまく力を入れられずに震えているのを見て
まだ全然酒が抜けてないのを見抜いていたようだった。
そしてひざと肩の後ろを腕で持ち上げて
いわゆる「お姫様抱っこ」状態にされ、ベッドに改めて寝かされた。
確かにプロレスラーみたいな体型だけど
約80kgあるオレの体を軽々と持ち上げたのはやっぱり驚いた。
そして泰三さんはグシャグシャと俺の頭を撫でると
「ちょっと待っとけ」と言い残して部屋を出て行った。
それにしてもでっかいベッドだ。ダブルかな。
まあ持ち主がアレなら分かるような気がする。

「ホレ。飲め」

戻ってきた泰三さんがぽん、と投げて寄越したのは
スポーツドリンクのペットボトルだった。
オレはどうも、と言ってキャップをあけて二、三口飲んだ。

「水分しっかり取らんとなかなか酒は抜けんからな」
「すいません。ホントに…」
「謝らんでええって。なんだかんだ言って楽しかったしな。
ほな寝るか。ちょっと狭いけどごめんな」

そう言ってオレの隣に滑り込んできた。


005



(け…結構近いんですけど)

振られたその日だというのに
こんなガタイの男の人と一緒の布団で
しかも至近距離で寝るとなると
エロい事考えてしまう自分が顔を出そうとする。
心拍数が上がっていく。

(ダメだって!ノンケだったらどうするんだよ!)

自分の中の気持ちが2つに分かれていく。
本能に従う自分と、理性に従う自分。

(振られたその日に何考えてんだよオレは!くそ!)

焦って壁際に寝返りを打って
泰三さんとの距離をなるべく保とうとした。
そんなオレの葛藤をよそに泰三さんの深い息が聞こえる。
ノンケなんてそんなもんなんだよな。

(まだ、理性が勝ってる…けど、これじゃ寝れそうにないよ…。
くそ、そんなんならもっとイケてない顔と体しててくれよ…)
半泣きになってるオレの背中越しに泰三さんのつぶやく声が聞こえてきた。

「それにしても……ホンマに好きだったんやな、そいつの事。
よっぽどええ男だったんやろな」
「え……?」
「コウタ…って言うんやろ?そいつ」

オレは自分の耳を疑った。
まさか、ホントに康太の事言ってたなんて…。
気持ち悪いって思われてる?死ねばいいって思われてる?
からかわれたり、みんなに言いふらされたり
黙ってて欲しかったら、って脅されたりするのか…?
頭が真っ白になった。冷や汗が出てくる。血の気が引いていく。
心臓の音だけが加速していく。

「今日知り合ったばっかりやけど……」

遠くの方から泰三さんの低い声が聞こえた気がした。
ハッとして意識を背後に集中する。
ゆっくりと深呼吸をする音が聞こえた。

「オレじゃ……あかんかな?
…一回限りでもええから」

(´・ω・`)★☆(´・ω・`)★☆かいせつ★☆(´・ω・`)★☆(´・ω・`)

原案はエロありきだったので
泰三が布団に入ってきてからの葛藤の描写はありませんでしたが
やはりリアルじゃないと思い、付け足しました。
「もっとイケてない顔と体しててくれよ…」というユキヒロの気持ちは
けいいちが同じ状況になったら思うだろうなと考えて書きました。
ノンケのイケメンはおいしそうな食品サンプルと同じです。