「……もう、やり直せないの?」
「ゴメン…」
「もっと早く言って欲しかったよ…」
「……」
「……」
「ゴメンな…」
「……しょうがないよ。もうどうしようもない事だし」
「……うん」
「短い間だったけど、ありがとね。それじゃあ、元気でね」

言いたくもない別れの言葉をひねり出す。
声が震えそうになるのを必死で抑えながら。
それでも涙はあっという間に滲み出して
今にも零れ落ちそうになる。
オレは慌ててテーブルの上の伝票を掴むとレジへ向かった。

「おい、ここはオレが…」
「いいよ、最後くらいかっこつけさせてw」

早く会計を済まさなきゃ。
レジへ向かいながら背中で答えた。
かっこつけてはみたものの、涙声なのがバレバレだ。
ひょっとして、今俺すごく惨めなのかも…。

一瞬あいつのいつもつけてた香水が香った。
今となっては悲しい香りだった。

「880円になりま〜す」
「こ、これで…」
財布の中から1000円札を差し出した。
「1000円からでよろしかったでしょうか〜?」
「はい…」
「お客様、大丈夫ですかぁ?」
視界が滲んでよく見えないが、ノンケ的に「かわいい系」の女の子だろうか、
涙目になってる俺に気付いたらしい。
耳が熱くなっていく。

(恥ずかしい…)

「だ、大丈夫です。目にゴミが入ったんで。あ、あのお釣りは結構です」
「え、でも〜…」

とにかく一秒たりともそこに居たくはなかった。
店員の女の子の返事を待たずに店を後にした。
早く誰も居ない所に行きたい。涙はどんどん零れてくる。
ろくに前も見えないくせに気持ちばかり焦って早足になる。

(……えっ!?)

一瞬あいつの匂いがした気がした。
追いかけてきた!?
反射的に振り返ってしまった。
次の瞬間、

ドン!

と思いっきり目の前の壁にぶつかってしまい
俺は不恰好に尻餅をついてしまった。

「イタタタ……」
01


慌ててぶつかった方を見たら
壁だと思ってたのは人だった。しかも巨人だ。
たぶん2〜3人殺してるんじゃないかと思うくらいの
ドスの効いた声が頭上遥か彼方から降り注いできた。


「いっ……たいのぉ!この、ボケがぁ!!」


えーと…俺、殺されるかも…。

(´・ω・`)★☆(´・ω・`)★☆かいせつ★☆(´・ω・`)★☆(´・ω・`)

香水の香りには、つけた瞬間に香るトップノート、
トップノートとラストノートの間で一番長く香るミドルノート
そして香りが消えていく時のラストノートがあります。

突然一方的に別れを告げられた恋が終わっていく
その余韻を香水のラストノートとかけてみました。
ちなみに「あいつのいつもつけてた香水が〜」と
「一瞬あいつの匂いがした気がした」のくだりは
けいいちの実体験です(わはは)
しかしよそ見→ドーン→なによ!の出会いは古典的ですねw