Starry Sky

ゲイによるノンケ向けのゲイ恋愛小説です。性的表現は控えめですがなきにしもあらずなので苦手な方はご遠慮ください。

016. ツンデレーション(後編)

それからオレは週に3回は学校に出るようにした。
でも、学校に出た日もあの人に会える事を期待して
あのゲーセンでストIIを毎日やった。

「オイ、お前宮高の生徒やろ」

視線だけ上げる。

「なんや、今工か」
「なあ、ちょっと金貸してくれんか」
「財布落としてもーて、なあw」
「困った時はお互い様って言うやろ」
「…内ポケットからはみ出てるのは何や」
「こ、これは……なあ」
「まあ、その中身も、落としたっていう財布の中身も
どうせ空っぽなんやろ。ついでに頭の中身もか?」
「あぁん!?」
「なんやとコラ!」
「……ちょっとこっち来いや」

路地裏に連れて行かれてボコボコにされた。
当時は大して筋肉質でもなく喧嘩もそんなに強くなかった。
ただ、目つきの鋭さと既に185センチあった身長で
あまり絡まれる事がなかっただけだった。

(クソ、痛てぇな……!)

殴られながら、蹴られながら
それでも財布の入ったカバンは絶対に渡すまいと
胸に抱え込んで亀のように丸まっていた。
その時聞き覚えのある声が聞こえた。

「オイ、お前ら!何さらしとるんや!!」
「やべ!逃げるぞ!」

今工の生徒達は路地の反対側に逃げ去ってしまった。

「オイ!大丈夫か」
「……なんや、オッサンか」
「今の、今工の生徒やろ。お前、なんでやり返さへんのや」
「相手に怪我させたら暴行だか、障害で犯罪になるやろ」
「お前…」
「ハァ、オッサンの言う通りにしたらこのザマや…」
「何があった?」
「別に…金たかられたから、断っただけ」
「そうか…何も取られんかったか?大丈夫か?」
「大丈夫なわけないやろ。顔も服もドロドロやし…あちこち怪我したわ」
「とりあえず送ったるから、一緒に来い」
「…イヤや」
「何?」
「イヤや、学校フケて遊んどったのバレるやん」
「…そっか、じゃあ…とりあえずうちすぐそこやから、そこで休むか」

そいつの家は意外にも一戸建てだった。

「一戸建てか…」
「意外か?」
「生意気…」
「一応公務員やからなwホラ、上がれ」

しかし中は雑然と言うか…どっちかというと汚かった。

「…これで嫁が居る言うたらオッサン、離婚した方がええで」
「はははw心配するな、花の独身貴族やw」
「これが貴族の家か…?」
「まあまあ、硬い事言うな。男同士やろ。
よし、とりあえず泥落とさんとな。服、脱げ」
「え?」
「洗濯するから服、脱げ」
「え…イヤや」
「…しょうがないな。ホレ、タオル。そこが脱衣所。
一人やったら着替えられるやろ?シャワーして傷も洗った方がええで。
あとで着替え置いとくからな」

オレは一人脱衣所で服を脱ぎ、軽くシャワーを浴びた。
ぬるま湯にしても出来たばかりの傷はヒリヒリと染みた。
風呂から出たらスエットが置いてあった。
一応匂ってみたけど変な臭いはしなかった。

「おし、きれいになって出てきたな!」

そいつは満足げにオレを見て言った。

「消毒するで。こっち来い」
「ええよ、そんなん」
「ええから!ホラ、こっち。ここ座れ」
「……」

オレをソファに座らせるとオレの足元に胡坐をかき、
足、手、顔の傷をてきぱきと消毒してくれた。

「お前…オレの言った事、守ってくれたんやな」
「……別に。おっさんに手柄挙げるチャンスやりとうなかっただけや」
「まったく、素直じゃないのw」
「……でも…」
「うん?」
「助けてくれて、ありがとう…」
「ああ、いつでも助けてやるからな」

そう言うと、嬉しそうにこっちを見て微笑んだ。
胸が痛いほどドキドキして、顔が赤くなる。思わず目を逸らした。
オレ、この人にホレたんかな…?
016

「なあ…」
「何?」
「お前、立ってるんちゃう?」
「……!!」

気付かなかったが、無意識のうちに下半身に血が集まっていた。
しかもスエットだから勃起してるのが丸分かりだった。
一瞬で頭がグチャグチャになった。

「こ、これは…その…!」
「ええんやで、高校の頃は何もなくても立ったりするもんやw」
「ちが…そういうんじゃなくて……!」
「ん?」

今思えば完全に暴走してた。

「オレ、オッサ…龍次さんの事が……好きや!」
「……………」

龍次さんはきょとんとした目でこちらを見上げていた。
沈黙で我に返った。。汗が頬を伝って流れ落ちる。
恥ずかしい…けど、視線が外せない。
ご、誤魔化さないと…。

「な、なんてな!はははwビックリしたやろ」

どう考えても焦って取り繕おうとしてるようにしか見えない。
余計にテンパって何か言おうとするけど言葉が出てこない。
龍次さんはそんなオレの隣に黙ってゆっくり腰掛けると
肩を抱き寄せて頭を撫でてくれた。

「ありがとな…勇気出して言ってくれて」
「……………うん」
「これからずっとオレが守ったるからな」
「………うん……」

緊張の糸が切れたのか
体の力が抜けてしまった。
龍次さんの心臓の音がただ、耳に心地よかった。続きを読む

015. ツンデレーション(前編)

「オイ」
「…なんやねん」
「自分、高校生やろ?」
「だったらなんやねん」
「学校は?」
「…フケた」
「そうか。勉強嫌いか」
「……ほっとけ」
「あのな、ホントならとっ捕まえて学校に引きずっていくとこやで」
「出来るもんならやってみれや」

平日の昼間。学校をサボって
ゲームセンターでストIIに勤しんでいる最中に
横から話しかけられてオレは不機嫌だった。

「まあ、オレも高校の頃は勉強が嫌いやったからな、
学校に行っても友達は居らんかったし
学校に行きたくないお前の気持ちが全く分からんわけでもないからな」
「イジメられっ子ってヤツか?ダサいの」
「イジメとはちょっと違うな。
オレらの年代のイジメはもっとこう、暴力的やったからな」
「ふーん…」
「ま、そんなんやから別に無理矢理学校に行けとは言わん」
「やったら、ほっといてくれや。オッサン」
「オイオイ。オレまだ20代やで。…まあ来年30やけど」
「高校生からしたらオッサンやわ」

ゲームに集中できず、ダルシムに負けてしまった。

「ああ!オッサンが話しかけてくるせいで負けたやんか!」
「悪い悪いwホレ、100円。これでチャラやろ」
「補導もせずにゲーム代まで出すんか」
「アホ、無意味に補導されんように保護者代わりになってやっとるんやんけ」
「つーかオッサンなにもん?うち金持ちちゃうで」
「ははは、オレは『お巡りさん』やでw 今日は非番やから私服やけど」
「ウソつけ。普通おまわりが学校フケた高校生をほっとくか」
「ほな制服姿見せたるから、明日スー玉で万引きしてみるか?」
「アホか、それ捕まるの前提やんけ」
「冗談やってw まあ、お前がこれからも学校サボるなら
そのうち制服姿でウロウロしてるとこ見たりもするんちゃうかな」
「…真面目に仕事せえよ、税金ドロボウ」
「はははw まあ、学校サボるのはええけど…犯罪はするなよ」

そいつはオレの肩に手を置くと
真顔でオレの目を真っ直ぐ見つめて言った。
スポーツ刈りが伸びたような頭、不精髭、ジャージ…
ホンマに警官か?と思うような井手達だったが
オレの事を見つめる真剣な視線は
本気でオレが犯罪に手を染めない事を願っていた。そう感じた。

「お、オッサンが高校生に手を出すのも犯罪やで」
「ははは、なに照れとんねんw
そうや、オレは川口龍次って言うんや。
浪速警察署勤務やから変なヤツに絡まれたりしたら飛び込んで来いよ」
「オッサンの世話になんかなるか。も…、もう帰るわ」
「おう、気をつけて帰れよ」

オレは顔が熱くなるのを感じた。
…なんだこの感覚。異様に胸がドキドキする。
性的な興味は既に男にしかなかったが
一人の男に対してこんなドキドキしたことなんかなかった。
多分赤くなってる顔を見られまいと慌ててゲーセンを出ようとして足を止めた。
そして引き返してその男のところに戻った。

「ん?どうした、忘れ物か?」
「これ」
「100円?」
「借りは作りたないし」
「ははは、そうかw」

笑いながら差し出した掌に載せた100円玉を
無骨な指で摘み上げる。
掌に指が触れる。汗が出てきた。
015
「……橋口」
「ん?」
「橋口泰三…オレの名前」
「泰三か。男らしい名前やな」
「ほな…」
「おう!たまには学校にも行けよー」

(川口…龍次か…)

自転車をこぎながらさっきの事を反芻するように思い出す。
何度も何度も、
あの人の真っ直ぐな目を。
肩に置いた手の温もりを。
優しい笑顔と低く張りのある声を。

オレはその夜なかなか眠れなかった。
でもあの人の言う通り、たまには学校に行ってもいいかな、
なんて思っていた。続きを読む

014. 分からない事だらけ でも安心できるの

付き合い始めて1ヶ月が過ぎた。
お互い平日仕事で土日が休みだったので
毎週金曜の晩からどっちかの家に泊まって
週末はずっと一緒に居た。
泰三さんはいろんな料理を作ってくれて
オレはいろんなお菓子を作ってあげた。
慶吾や康太ともたまに遊んでた。
泰三さんは優しくて、心からオレの事を愛してくれた。
オレも泰三さんの愛に応える為に精一杯愛して幸せな日々を過ごしていた。

今日も泰三さんと一日一緒に過ごした。
泰三さんはベッドに服を脱ぎ散らかしたままお風呂に入ってる。
これじゃあ寝転べない。

「もー、服ジャマー!」

服を鷲掴みにして床に放り投げた。

ボテ

っという感じで古い財布が転がり出た。
小銭入れのボタンが外れて小銭が散らばってしまった。

「あーもう」

しょうがないなという感じで、
小銭を拾い集めると財布に戻した。

「なんでこんなボロい財布使い続けてんだよ。もう!」

(そうだ、泰三さんの誕生日に新しい財布を買って…あっ!)
考え事をしていたせいか、手が滑って財布を落としそうになった。
慌てて掴みなおしたが、今度はお札入れの方から何か紙が落ちた。

「…え?」

床に落ちていたのは古い写真だった。
警官の制服を着た男が写っていた。

(オレ…じゃない。オレに、そっくりな……誰だ?)

心拍数が上がっていく。
よくない想像が湧いてしまう…。
でも、ここで取り乱すわけには行かない。
オレはそっと写真を財布に戻して泰三さんが出てくるのを待った。

「ああー暑ぅ」

泰三さんがお風呂から出てきた。
腰にタオルを巻いたままオレの隣に座ってくる。
014

「泰三さん…」
「どうした?なんか顔、暗いで」
「うん…ゴメン、財布…見ちゃった」
「……何?」
「服がジャマだったから、どかせたら財布落としちゃって、
それで拾ったら中から写真が出てきて……」
「!……見てもーたんか……」

泰三さんは複雑な表情をしている。
オレが、あの写真の人に似てるから…
オレは、あの写真の人の代わりに…?
心の中でまた嫌な想像が暴れ始める。
胸がキリキリと痛んだ。

「オレにそっくりだった…あの人は、誰?オレは、泰三さんにとって…」
「そんなんやない」
「でも……」
「いつかは話さんとあかんと思ってた…聞いてくれるか…?」
「……聞きたく…ない…」
「頼む…聞いてくれ」
「……でも………」
「お前は、あの人の代わりなんかやない。お前は、お前や。
オレにとってたった一人の大切な恋人やで…。
だから……聞いてくれるか……?」
「……」

泰三さんはゆっくりと背中をさすりながら話しかけてくる。
オレは…あの人の代わりじゃない…でも……
どんな話なんだ…?聞くのが怖い……。

泰三さんはまだ話し始めない。
右手で背中をゆっくりと撫でながら
左手でオレの手を取ってゆっくりマッサージしてくれる。
初めて会った時にも感じていたが
泰三さんは心の強張りに敏感なんだと思った。
そしてその度、焦らずにゆっくりと緊張をほぐしてくれた。

(なんか…安心、できるんだよな……)

気がつくと自分でも無意識に体が緊張していたようで
体の力がスッと抜けていくのが分かった。

「大丈夫か……?」
「うん…ゴメンね……」
「……ほな、聞いてくれるか?」
「いいよ、オレは泰三さんの事、信じてるから」
「イヤ…聞いてくれ。隠し事はしたくない」
「でも……」
「大丈夫やって。大昔の話なんやから。
それにここでお前がうんって言わへんかったら15話に続かへん」
「は?15話?」
「え?今オレ、15話って…?
と、とにかく、聞いてくれるか?」
「う、うん……」続きを読む

013. 最高の甘い笑顔でウソついた

小説013. 最高の甘い笑顔でウソついた(いよいよか…なんか、変な感じやな)

ユキヒロはユニットバスに篭っている。
ゲイはいちいち準備が面倒なのだ。

(セックス自体何ヶ月ぶりやろ…?
今年に入ってからはやってないし…ヘタしたら半年以上!?
うわー…ちゃんと立つやろか…)

そんな事を思いながら体を起こし、ベッドに腰掛ける。
視線の先にはカバンがあった。
あの中に入っている財布…
それをくれた人の写真が財布の中に入っている。

(龍次さん…)

龍次さんとの時はオレがウケだったのに…
なんかそう思うと変な感じがした。

(でも、オレは龍次さんと関係なしにユキヒロが好きや)

初対面の時、龍次さんにあまりに似ていたから
それで惹かれたのは確かだった。
しかし今はユキヒロの中身により強く惹かれている。
龍次さんの代わりなんかじゃない。
自分の正直な気持ちを再確認した。

(……!?あかん!出てくるな!!)

記憶はふとした拍子で過去の傷を引っ掻く。
あの男の声、顔、痛み…
思い出したくないモノが蘇る…ああ……
ガタガタと体が震えだす。情けない。
オレは、オレが今まで鍛えてきたのは…

(体だけじゃないはずだ……)

水の音が止まった。
ユキヒロが出て来る。ヤバい。
黒い記憶を振り払う様にブンブンと頭を振る。

「何やってんの?」
「え?ああ、首が凝ってるなーと思ってな。よし、オレもシャワーしてくるわ」

とっさに笑顔を作り、ウソをついていた。
ユキヒロは特に疑う様子もなくタオルを差し出してくれた。

(……変な事考えて中折れすんなよ。ただでさえ久々なのに)

シャワーを浴びながら洗面台の鏡を見つめる。
あの時につけられた傷を隠すために掘ったタトゥー…
ユキヒロは見ても何にも言わなかったな。
こんなヤツ、どう見ても堅気じゃないのに。

(ホンマに好いてくれてるんやろな)

体を拭いて風呂から出る。
ユキヒロはベッドに腰掛けてニコニコしながらこっちを見ている。
隣に座って肩を抱く。柔らかい肌の感触が心地いい。
温かい体温を感じる。生きているという実感が湧く。

「……オレはユキヒロだけが好きやで」
「オレも、泰三さんだけだよ」
「ずっと、一緒に居ろうな…」
「うん……」

ゆっくり押し倒す。目を閉じないでキスをする。
ユキヒロの事だけを見ていたかった。
両手と舌でユキヒロの体をゆっくり探っていく。
どこが敏感なのか、宝探しをするように。

ユキヒロもオレの体を撫でてくる。
筋肉の一つ一つを確認するように、ゆっくりと。
そうだ…オレは…ユキヒロを守るために
今日のために鍛えてきたんだ。

(あんな思いは…絶対に…)

コンドームをつけ、ローションを塗った。

「ええか…?」
「うん…」
「ゆっくりやるからな…」

少しずつ、少しずつ、時間をかけて俺達は一つになった。
心臓が破裂するんじゃないかと思うくらいドキドキした。
下半身が痛いくらいだった。

(……中学生かw)
013

「…どう、したの…?ニヤニヤ…して」
「……自分でも呆れる位元気になっとるなって思ってなw」
「うん…すげー硬い…w」
「痛くないか…?」
「大丈夫…気持ちいいよ」

オレはユキヒロに覆いかぶさり、キスした。
ゆっくりと動き出す。だんだん頭が真っ白になっていく。

***

「はあー…もう動けない……」
「気持ちよかったか?」
「頭真っ白w 初めてトコロテン*したよ」
「ウソやろー。初めてで4回もするか?」
「本当です」
「じゃあ…相性バッチリなんやろな」
「そうだね。何回、このまま時間が止まったらいいのに、って思ったかw」
「オレもやわw」
「つーか泰三さん…量多すぎw」
「アルギニン*のおかげやなw」
「オレも飲もうかなー」
「ほな、次買う時一緒に買っとこか?」
「うん♪」
「でもその前に、米くらい買えw」
「えー(;´ω`)」
「オレがうまいおかず作ったるから」
「じゃあオレはデザート係ね」
「ずっと一緒やで…」
「うん。愛してるよ。泰三さん」
「ああ。オレも好きやで」

ユキヒロは笑顔で、オレにキスをしてくれた。続きを読む

012. お願い、想いが届くようにね

家に帰ると早速お菓子を作り始めた。
2人はドアを隔てたリビングを掃除してくれている。
作るものはチョコムースタルトにしようと決めていた。
30分ほどでタルトは出来上がった。後は冷蔵庫で冷やすだけだ。

そして最後の仕上げ…の前に

「掃除ははかどってるのかな…ってオイ!」
「あ」
「あ。じゃないよ!なにマンガ読んでんの!?」
「いやあ、ハガレンおもろいなあ。食わず嫌いはよくないわ(´ω`)」
「感想とか聞いてないし!つーか読み終わった本で余計散らかってるよ!」
「アホか、これは今から読む分やで」
「イヤ、そんなんどっちでもいいから!」
「つーかお菓子まだー?(・3・)」
「次にここ開けた時片付いてなかったらオレが全部一人で食う!」
「太るでw(´ー`)」
「太るよw(´ー`)」
「そ…それでもいいもん!ε=(*`ω´*)」

まったく…。
さて、続きに取り掛かるか。オレはチョコプレートとチョコペンを取り出した。
これだけは絶対に見つかるわけにはいかなかった。
スーパーでも別行動にしたほどだった。

「これでよし…」

チョコプレートを冷凍庫に入れる。

「さあ。後はできるまで放置だから掃除手伝うよー」
「手伝うって…お前の部屋なんだけど…」

***

「ご馳走様!」
「たまにはピザもええなー」
「そうだねー」
「ユキヒロお菓子まだー?」
「はいはいお菓子お菓子」

タルトにチョコプレートを載せてテーブルに出した。

「ハイどうぞ!」
「……へ?」
「おお!(*゚∀゚)=3」

タルトの上に載せたチョコプレートには

『たいぞうさんへ オレとつきあってください』

と書いておいた。一応、ってワケじゃないけど、きちんと告白したかったから。

「こういうことでしょ♪ムードのある告白って」
「お前……」
「ヒューヒューだよ♪」
「牧瀬は古いw」

お皿を取りに行こうとした時、ガッと手を掴まれてそのまま抱きしめられた。

「ありがとう…ホンマに……オレも、大好きやで」
泰三さんの声は少し震えていた。

***

「さて…と。それじゃ、帰るわ」
「え、何で?まだ1時じゃん」
「いいの。邪魔者は去りますよw後はごゆっくりwww」
「アホ!」

ちゃんと付けてからやれよ!と余計な一言を残して慶吾は帰っていった。
玄関先で慶吾を見送った俺達の間に妙な沈黙が流れた。

「……えーと」
「……風邪、ちゃんと治してくれたから…」
「ん?」
「約束…。ご褒美だよ」
012

オレは背伸びをして泰三さんにキスした。
自分からリードするつもりだったけどキスしただけで頭が真っ白になった。
たぶん10〜20秒くらいの事だったんだろうけど
すごく長いような、一瞬の出来事のような…
俺達のファーストキスはそんな感じだった。

「……これだけか?」
「…他にも?欲張りw」
泰三さんはオレを抱き上げてベッドまで運んでくれた。
「……好きやで。ユキヒロ」
「オレも…大好きだよ。泰三さん」
キスしながらジャージのファスナーを下ろした。下はタンクトップだけだった。
タンクトップもゆっくり脱がせた。初めて見る泰三さんの裸。
「すげー体…」
「お前も脱げや…」
泰三さんはオレのTシャツを脱がせた。
「綺麗な肌してるやん」
そのまま抱きしめられ、ゆっくりと押し倒された。
肌と肌が触れ合う感触はすごく好きだ。それが、愛してる人なら尚更。

「でかいな…」
「そ、そうかな…?泰三さんのも結構でかいんだけど」
「そうやろ?w」
「自分で言ってるしw」
「なあ…ユキヒロはどっちなん?」
「オレはタチリバだよ。泰三さんは?」
「オレはウケはちょっと…な、こんなでかいの無理やわ。タチってええか?」
「うん、いいよ。じゃあ…準備してくるね」

オレはその時泰三さんの表情が
ほんの少しだけ曇った事に気付いていなかった。

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