カランコロンカラ〜ン
喫茶店のドアをあけるとドアベルが鳴った。
店は落ち着いた雰囲気で、
カウンターの中には中年の女性がいた。
客は俺達だけみたいだった。
「いらっしゃい。あ、橋口君!おかえり。今年もよう来たね」
「ご無沙汰してます、ヨーコさん」
「アラ…!え…?こちらは…?」
「ハハハ、そっくりでしょう。新しい恋人のユキヒロです」
「はじめまして。名取ユキヒロといいます」
「イヤー!ビックリやわ。こんなそっくりな人が居るもんなんやね。
あ、和泉の妻で、ヨーコ言います。旦那が川口君の同僚やったんですわ」
「よろしくお願いします」
「あの、和泉さんは?」
「非番やから寝とるよ。ちょっと待っとってね、
飲み物出したら起こしてくるから。とりあえず座り。何にする?」
俺達はカウンターに座った。
「えっと、アイスコー…あ、冷コー1つw」
「冷コーてw今時あんまり聞かへんよw」
「レイコー?コーラの事?」
「冷たいコーヒーで、冷コー。もう死語やなw」
「なるほどー」
「で、お前何にすんねん」
「あ、決めてなかった!えっと、えっと……」
「ゆっくり決めたらええよ」
「んー…じゃあ、ミックスジュース」
「はい、ミックスジュースやね」
「プwww」
「なにさー」
「イヤイヤ、なんでもないw」
アイスコーヒーとミックスジュース、
ガラスのボウルに入れられたチョコレートが俺達の前に並んだ。
ヨーコさんは2階に和泉さんを起こしに行った。
しばらくして40代の男性がカウンターに入ってきた。
和泉さんか…現役の警官らしくガッチリした体型をしている。
顔は全然イケなかったけどw
「いらっしゃい。橋口君。こちらが名取君か…
ホンマやわ、川口にそっくりやな」
「はじめまして、名取ユキヒロです」
「そっくりすぎやからなんか変な感じやわw」
「ですよね、僕も写真を見たときビックリしましたよ」
「それじゃあ、夕飯の支度するからゆっくりしとってね。
今日はご馳走やからね♪あんた、店番お願いね」
「はいよ」
そういってヨーコさんは出かけていった。
「もうあれから12年なんやな」
「ええ、早いもんですわ」
「橋口君も、やっと幸せになれたみたいやし、今晩はお祝いやな」
「いいんですよ、そんないつも通りで」
「え、今晩って…?」
「橋口君、毎年お盆に川口君のお墓参りに来てくれるから
その時はうちに泊まってもらってるんよ。
元々ここは、橋口君と川口君の家やったからな」
「え、それじゃあここが…」
「そう、龍次さんとオレが昔住んでた家やねん」
「そうだったんだ…」
チョコレートを一つ食べる。
口の中に少しの苦味と甘さが広がる。
「2人はもうすぐ1年?」
「イヤイヤ、5月に知り合ったばっかりやから、まだ3ヶ月ですよ」
「えー、そんな付き合いたてなんや?
なんかそういう風に見えんかったわ。
てっきり去年来てくれてからすぐに知り合ったんかと思ったわ。
ほな、今一番幸せいっぱいで甘い甘ーい感じなんや(*´∀`)」
「ええ…wまあそうですねw」
「夜とかどんなんなん?(*゚∀゚)=3」
「コラ!興味ないやないですか!www」
夕飯は焼肉だった。和泉さんと泰三さんはビール
ヨーコさんとオレは酎ハイで乾杯した。
2年前に伊勢原の叔父さんが病気で亡くなってから
帰省というものに縁がなくなっていたオレにとって
まるで親戚の集まりのような食卓はなんだかすごく楽しかった。
一晩お世話になるお礼にと、台所を借りて
夕飯前に買ってきておいた材料でレアチーズケーキを作った。
和泉さんもヨーコさんも喜んでくれた。
「おやすみなさい」
「明日早いから、パンツ脱いだりせんとゆっくり寝るんやでーw」
「和泉さん!下品やから!w」
「あ、ダブルベッドだ。いいのかな、こんないい部屋使わせてもらって」
「昔からここだけは変わってないな…」
「え…?」
「オレが住んでた頃と全く一緒やねん。
多分オレのために使わんとそのままにしてくれてるんやと思う」
「そうなんだ…」
「改築してお店出すときもいちいち相談して来てくれて…
もう和泉さんの家なのにな。ホンマに…」
「泰三さんも龍次さんも、いい人に恵まれてたって事だね」
「そうやな。さ…寝る前に」
「ん?」
「和泉さんは何もするなって言ってたけど、キスくらいはええやろ?」
「…うん」
ベッドに横になると、ゆっくりと抱きしめられた。
そして、優しく頭を撫でてキスをしてくれた。
(泰三さんは龍次さんとこうして寝てたのかな)
昔と今を重ねて少し胸が苦しくなったけど
泰三さんの体温は心地よかった。続きを読む
喫茶店のドアをあけるとドアベルが鳴った。
店は落ち着いた雰囲気で、
カウンターの中には中年の女性がいた。
客は俺達だけみたいだった。
「いらっしゃい。あ、橋口君!おかえり。今年もよう来たね」
「ご無沙汰してます、ヨーコさん」
「アラ…!え…?こちらは…?」
「ハハハ、そっくりでしょう。新しい恋人のユキヒロです」
「はじめまして。名取ユキヒロといいます」
「イヤー!ビックリやわ。こんなそっくりな人が居るもんなんやね。
あ、和泉の妻で、ヨーコ言います。旦那が川口君の同僚やったんですわ」
「よろしくお願いします」
「あの、和泉さんは?」
「非番やから寝とるよ。ちょっと待っとってね、
飲み物出したら起こしてくるから。とりあえず座り。何にする?」
俺達はカウンターに座った。
「えっと、アイスコー…あ、冷コー1つw」
「冷コーてw今時あんまり聞かへんよw」
「レイコー?コーラの事?」
「冷たいコーヒーで、冷コー。もう死語やなw」
「なるほどー」
「で、お前何にすんねん」
「あ、決めてなかった!えっと、えっと……」
「ゆっくり決めたらええよ」
「んー…じゃあ、ミックスジュース」
「はい、ミックスジュースやね」
「プwww」
「なにさー」
「イヤイヤ、なんでもないw」
アイスコーヒーとミックスジュース、
ガラスのボウルに入れられたチョコレートが俺達の前に並んだ。
ヨーコさんは2階に和泉さんを起こしに行った。
しばらくして40代の男性がカウンターに入ってきた。
和泉さんか…現役の警官らしくガッチリした体型をしている。
顔は全然イケなかったけどw
「いらっしゃい。橋口君。こちらが名取君か…
ホンマやわ、川口にそっくりやな」
「はじめまして、名取ユキヒロです」
「そっくりすぎやからなんか変な感じやわw」
「ですよね、僕も写真を見たときビックリしましたよ」
「それじゃあ、夕飯の支度するからゆっくりしとってね。
今日はご馳走やからね♪あんた、店番お願いね」
「はいよ」
そういってヨーコさんは出かけていった。
「もうあれから12年なんやな」
「ええ、早いもんですわ」
「橋口君も、やっと幸せになれたみたいやし、今晩はお祝いやな」
「いいんですよ、そんないつも通りで」
「え、今晩って…?」
「橋口君、毎年お盆に川口君のお墓参りに来てくれるから
その時はうちに泊まってもらってるんよ。
元々ここは、橋口君と川口君の家やったからな」
「え、それじゃあここが…」
「そう、龍次さんとオレが昔住んでた家やねん」
「そうだったんだ…」
チョコレートを一つ食べる。
口の中に少しの苦味と甘さが広がる。
「2人はもうすぐ1年?」
「イヤイヤ、5月に知り合ったばっかりやから、まだ3ヶ月ですよ」
「えー、そんな付き合いたてなんや?
なんかそういう風に見えんかったわ。
てっきり去年来てくれてからすぐに知り合ったんかと思ったわ。
ほな、今一番幸せいっぱいで甘い甘ーい感じなんや(*´∀`)」
「ええ…wまあそうですねw」
「夜とかどんなんなん?(*゚∀゚)=3」
「コラ!興味ないやないですか!www」
夕飯は焼肉だった。和泉さんと泰三さんはビール
ヨーコさんとオレは酎ハイで乾杯した。
2年前に伊勢原の叔父さんが病気で亡くなってから
帰省というものに縁がなくなっていたオレにとって
まるで親戚の集まりのような食卓はなんだかすごく楽しかった。
一晩お世話になるお礼にと、台所を借りて
夕飯前に買ってきておいた材料でレアチーズケーキを作った。
和泉さんもヨーコさんも喜んでくれた。
「おやすみなさい」
「明日早いから、パンツ脱いだりせんとゆっくり寝るんやでーw」
「和泉さん!下品やから!w」
「あ、ダブルベッドだ。いいのかな、こんないい部屋使わせてもらって」
「昔からここだけは変わってないな…」
「え…?」
「オレが住んでた頃と全く一緒やねん。
多分オレのために使わんとそのままにしてくれてるんやと思う」
「そうなんだ…」
「改築してお店出すときもいちいち相談して来てくれて…
もう和泉さんの家なのにな。ホンマに…」
「泰三さんも龍次さんも、いい人に恵まれてたって事だね」
「そうやな。さ…寝る前に」
「ん?」
「和泉さんは何もするなって言ってたけど、キスくらいはええやろ?」
「…うん」
ベッドに横になると、ゆっくりと抱きしめられた。
そして、優しく頭を撫でてキスをしてくれた。
(泰三さんは龍次さんとこうして寝てたのかな)
昔と今を重ねて少し胸が苦しくなったけど
泰三さんの体温は心地よかった。続きを読む